自分のやり方で配った薬|(誤薬・服薬/10分)

本記事の趣旨

この記事では、申し送り未確認と自己流対応が招く誤薬の事例を取り上げます。

事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。

現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。

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【事例検討】自分のやり方で配った薬(誤薬・服薬)

■利用者プロフィール

82歳 男性 要介護度:2 施設入所中

ADL:歩行・食事ともに自立。服薬は職員の見守りまたは声かけで実施している。
認知機能:軽度の認知症あり。理解力は保たれているが、新しい変更事項の把握が不十分なことがある。
性格:自分のやり方を大切にするタイプ。長年の習慣に沿って行動することが多く、細かい確認を省略する傾向がある。
生活歴:長年工場勤務。決まった手順を繰り返す仕事をしていたが、現場では自己流で効率化することも多かった。
環境:食後に職員が薬を配布し、本人が服薬する流れ。服薬管理は当番制で職員が担当している。
現在の生活リズム:食後はすぐに服薬する習慣がある。
直近の変化:前日から昼食後の薬が変更・追加されており、申し送りと記録には記載されていた。

■状況

昼食後、当番の職員が各利用者へ薬を配布していた。
この職員は普段から自分のやり方で服薬対応を行っており、その日も記録や申し送りを確認せずに配布を進めていた。

利用者には、変更前の内容で準備されていた薬が渡され、そのまま服薬した。

その後、別の職員が記録を確認し、薬の内容が変更されていたことに気づいた。

✍原因を考えてみましょう

✍どのような対策が考えられるか

進行役メモ ※声かけの例

  • 申し送りと記録は、なぜ活かされなかったのでしょうか?

▼この事例の整理例

こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。

また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。

■表面的な原因

  • 配薬前の記録・申し送り確認が行われなかった。

■背景にある原因

  • 「いつも通り」の手順で対応し、変更情報を参照しなかった。
  • 新規変更情報の確認手順が業務として組み込まれていなかった。
  • 服薬対応が当番制で、情報の引き継ぎ精度にばらつきがあった可能性がある。
  • 変更情報が記録・申し送りに留まり、実施直前の確認に結びついていなかった。

■対策

  • 配薬前に最新の記録・申し送りを確認する手順を必須化する。
  • 薬の変更があった利用者を一目で把握できる表示(一覧・マーキング等)を導入する。
  • 当番制でも同一手順で実施できるよう、服薬対応の標準化を行う。
  • 配薬時に薬包内容の指差し・声出し確認を徹底する。

見方のポイント

この事例は「確認しなかったこと」と捉えられやすいですが、
背景には「変更情報が現場行動に結びつく仕組み」が弱かった可能性があります。

特に「いつも通り」の流れが強い場面では、新しい情報が見落とされやすくなります。
また、当番制により対応者が変わる中で、個々のやり方に依存していた点も影響したと考えられます。

対策としては、個人の注意に頼らず、変更情報が自然に確認される仕組みを組み込むことが重要と考えられます。

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