荷物に躓いた利用者|(夜勤/20分)
本記事の趣旨
この記事では、環境整理不足と夜間視認性低下が重なり転倒が発生した事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】荷物に躓いた利用者(夜勤)
■利用者プロフィール
90歳 男性 要介護度:3 施設入所中
ADL:居室内は手すりや家具につかまりながら歩行可能。夜間はふらつきがあり、移動時の転倒リスクがある。
認知機能:軽度の認知症あり。状況判断は概ね可能だが、夜間は注意力が低下することがある。
福祉用具:ベッドサイドに手すり設置。ナースコールあり。
性格:几帳面だが、自分の生活リズムを崩されたくないタイプ。夜間でも必要と感じれば自分で動く。
生活歴:会社員として長く勤務。規則的な生活を重視してきた。
既往歴:脳梗塞既往(軽度片麻痺) 高血圧
服薬情報:降圧薬 睡眠導入剤
環境:居室はベッドとタンス、椅子が配置されている。ベッド周囲に私物が置かれることがある。
現在の生活リズム:夜間に1回トイレへ起きる習慣あり。基本はコールを使用するが、自分で行こうとすることもある。
直近の変化:日中、家族が面会に来ており、荷物や衣類が居室内に一時的に増えていた。
■状況
深夜帯、巡視で訪れた職員はAさんがベッドから少し離れた位置で倒れているのを発見した。
居室は消灯されており、足元は十分に見えない状態だった。
また、ベッド周囲には日中に増えた荷物の一部が床に置かれたままになっていた。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- この居室環境には、どのようなリスクがあったでしょうか?
- 事前にリスクに気づけるタイミングはあるでしょうか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 床上の物品につまずいた可能性。
- 暗い環境で足元の確認が不十分だった。
■背景にある原因
- 一時的に増えた荷物に対する環境整備が追いついていなかった。
- 夜間移動時のリスクに対する個別対応(動線確保や照明)の不足。
■対策
- ベッド周囲および移動動線上の物品を都度整理し、環境を一定に保つ。
- 夜間は足元灯などを活用し、最低限の視認性を確保する。
見方のポイント
転倒という結果は、単独行動だけでなく「環境の変化」と「夜間特有の機能低下」が重なった状況で生じている可能性があります。
特に今回は、一時的な荷物の増加という小さな変化が、動線上のリスクを高めている点が重要です。
対策は「動かないようにする」ではなく、「動く前提で安全を整える」視点で考える必要があります。
生活リズムや本人の意向を踏まえつつ、環境と関わり方の両面から調整していくことが求められます。




