巡視では異常なし?|(夜勤/20分)
本記事の趣旨
この記事では、夜間体調変化の見逃しと巡視判断の遅れが重なり転倒が発生した事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】巡視では異常なし?(夜勤)
■利用者プロフィール
90歳 男性 要介護度:4 施設入所中 慢性心不全あり
ADL: 移動は歩行器使用で見守り。排泄は自身で行える。夜間はポータブルトイレ使用。
認知機能: 軽度認知症。時間の見当識が不安定になることがある。
福祉用具: 歩行器、人感センサー、ポータブルトイレ
性格: 頑固で我慢強い。若い頃から自分の弱みを見せることを嫌っていた。
既往歴: 心不全、前立腺肥大
服薬情報: 利尿薬を夕食後に内服。
現在の生活リズム: 21時就寝。夜間1~2回排尿あり。
直近の変化: ここ数日、日中の食事量がやや減少。足のむくみが目立っていた。
■状況
21時の就寝介助時「今日は少しだるい」と本人から発言があったが、発熱はなくバイタルも大きな変化はなかった。
23時の巡視ではいびきをかいていたため、居室入り口から覗くだけにとどめた。
1時頃、隣室対応中に物音がしたように感じたが、他利用者のコールが重なり確認は後回しになった。
2時の定時巡視の際、居室入り口付近で尻もちをついているところを発見する。
本人は「トイレに行こうと思ったけど、間に合わなかった」と話す。
ズボンは濡れており、呼吸はやや荒く、額に汗がにじんでいた。
足のむくみは夕方より強く見えた。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- 巡視時、どこまで観察できていたら良かったでしょうか?
- 足のむくみは、夜間の状態に影響しそうですか?
- 本人の性格から読み取れることはありそうですか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 物音の段階での確認が遅れ、早期対応に至らなかった。
■背景にある原因
- 夜間の巡視が形式的になり、状態変化の観察が十分でなかったと考えられる。
- 心不全の影響により、倦怠感や呼吸状態の変化が出ていた可能性がある。
- 「だるい」という訴えがあったが、リスクとして具体的に共有・対応されていなかった。
■対策
- 巡視時は視認だけでなく、呼吸状態や表情なども含めた観察を行うことを定期的に共有する。
- 心不全利用者については、リスクについて職員間で共有し、
浮腫や呼吸状態の変化を踏まえた夜間対応(巡視強化や事前排泄誘導)を検討する。 - 体調に関する小さな変化(だるさ・食事量低下など)をリスクとして具体的な対応方法とともに共有する。
見方のポイント
この事例は転倒という結果だけでなく、
その前段階にある体調変化やサインにどう対応したかが重要と考えられます。
「だるい」「食事量低下」「浮腫の増強」といった変化は、単独では見過ごされやすいものの、
重なることでリスクが高まっていた可能性があります。
また、本人の性格や薬の影響により、夜間の行動が変化していた点も見逃せません。
対策としては、日中の小さな変化を夜間のケアにどうつなげるか、という視点で情報を活用することが重要と考えられます。



