静かな居室の思い込み|(夜勤/10分)
本記事の趣旨
この記事では、夜間変化の情報共有不足と巡視判断の甘さが重なった転倒の事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】静かな居室の思い込み(夜勤)
■利用者プロフィール
88歳 女性 要介護度:3 施設入所中
ADL:日中は見守りで歩行可能。夜間はふらつきがあり、移動時は介助が必要。
認知機能:中等度の認知症あり。夜間は見当識が低下しやすく、たまに突然起きて行動することがある。
福祉用具:ベッドサイドに手すりあり。ナースコール設置。
性格:遠慮がちな性格で、あまりコールを使わない。「迷惑をかけたくない」と話すことが多い。
既往歴:大腿骨骨折既往あり 高血圧
服薬情報:降圧薬 睡眠導入剤
環境:夜勤は1名体制。定時巡視とコール対応で見守り。
現在の生活リズム:普段は入眠後、朝まで眠っていることが多い。
直近の変化:前夜、珍しく夜間に1度トイレへ起きていたが、その情報は口頭で簡単に共有されたのみだった。
■状況
深夜帯、巡視の時間。
職員は居室前まで行き、室内が静かなこと、これまで夜間はよく眠れている利用者であることから、
「寝ているだろう」と判断し、室内には入らなかった。
その後、次の巡視で居室に入ると、利用者がベッドから離れた場所で床に倒れているところを発見した。
利用者は「トイレに行こうと思った」と話していた。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- 直近の変化は、どのように扱われていたでしょうか?
- 職員の対応で気になる点はありますか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 巡視時に室内状況の確認が十分でなかった。
■背景にある原因
- 前夜の夜間覚醒という変化が、具体的な対応に反映されていなかった。
- 「普段は眠れている」という認識により、確認が簡略化されたのかもしれない。
- 遠慮がちな性格により、コール使用が抑制されていたのかもしれない。
- 夜間は認知機能低下により判断力や見当識が不安定になる可能性がある。
■対策
- 夜間の変化(覚醒・トイレ希望など)は、巡視方法に反映するルールを明確にする。
- 巡視時は可能な範囲で室内確認を行い、ベッド上の状態を直接把握する。
- コール使用が少ない利用者には、事前の声かけやタイミング誘導を行う。
- 夜間リスクの高い利用者については、センサーや環境調整を検討する。
見方のポイント
この事例は「巡視で見落とした」と捉えられがちですが、
背景には情報の扱い方と判断基準の問題があった可能性があります。
前夜の変化は小さく見えても、夜間行動のリスクを示すサインだったとも考えられます。
また、「普段は大丈夫」という認識が、確認行動を省略させた可能性もあります。
対策としては、日々の小さな変化を巡視の具体的な行動に結びつける視点を持つことが重要と考えられます。




