置き場所はいつも通りでしたか?|(転倒・転落/10分)

本記事の趣旨

この記事では、歩行器タイヤ交換後の微細変化を見落とし転倒が発生した事例を取り上げます。

事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。

現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。

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【事例検討】置き場所はいつも通りでしたか?(転倒・転落)

■利用者プロフィール

84歳 女性 要介護度:2 施設入所中 右変形性膝関節症あり

ADL: 室内は歩行器使用で自立。見守りレベル。
認知機能: 軽度の見当識低下あり。
福祉用具: 四輪歩行器使用(高さ調整済み)
性格: 自立心が強く、人に頼ることを好まない。
生活歴: 農業従事。足腰には自信を持っていた。
既往歴: 変形性膝関節症、高血圧
環境: 個室。ベッドとトイレは居室内にある。
直近の変化: 2日前に歩行器のタイヤ交換を実施。

■状況

午前中、Aさんは居室で横になりながらテレビを観て過ごしていた。

職員が巡視した際、ベッド横で座り込んでいるところを発見する。
ベッド横には歩行器が置かれていたが、いつもよりやや前方に位置していた。

また、歩行器の高さは以前と同じ目盛りになっていたが、タイヤ交換前と比べてわずかに本体の傾きが変わっていた可能性が認められた。

✍原因を考えてみましょう

✍どのような対策が考えられるか

進行役メモ ※声かけの例

  • 福祉用具の変更後、どんな確認が必要でしょうか?
  • 歩行器の置き場所は、影響しそうですか?

▼この事例の整理例

こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。

また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。

■表面的な原因

  • 立ち上がり時に歩行器との位置関係が合わず、バランスを崩した。

■背景にある原因

  • タイヤ交換により、歩行器の高さや傾きなど使用感が変化していた。
  • 「以前と同じ設定」という認識で、再調整や再評価が行われていなかった。
  • 自立心の強さにより、違和感があっても自分で対応しようとした可能性が考えられる。
  • 歩行器の位置(前方配置)が日常と異なり、動作パターンが崩れた可能性がある。

■対策

  • 福祉用具の調整・修理後は、実際の使用感や安定性を本人と一緒に確認する。
  • 変更直後は見守りを強化し、動作時の違和感を早期に把握する。
  • 利用者にも「いつもと違う」と感じた際に伝えてもらうよう促す。
  • 歩行器の定位置を明確にし、立ち上がりやすい位置に整える。

見方のポイント

この事例は「位置がずれていたこと」だけでなく、「わずかな変化がどのように影響したか」が重要な視点です。

福祉用具は同じ設定でも、部品交換などにより使用感が変わることがあります。

また、日常的に使い慣れている動作ほど、変化への適応が遅れることも考えられます。

対策としては、「元に戻したつもり」ではなく、
「変化がないか再確認する」という視点で福祉用具を扱うことが重要と考えられます。

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