手順は知っていた|(転倒・転落/20分)
本記事の趣旨
この記事では、移乗前準備の確認不足と誘導手順の不備が重なり転倒が発生した事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】手順は知っていた(転倒・転落)
■利用者プロフィール
86歳 女性 要介護度:3 施設入所中
ADL: 立位保持は不安定。移乗は一部介助。歩行は不可。車椅子使用。
認知機能: 中等度認知症。状況理解に時間がかかる。急な動作に驚きやすい。
福祉用具: 車椅子 移乗用手すり。
既往歴: 大腿骨骨折既往 骨粗しょう症
服薬情報: 降圧薬 骨粗しょう症治療薬
性格: 遠慮がちで、促されると急いで動こうとする傾向。
環境: 4人部屋。ベッド横の車椅子設置スペースはやや狭い。
現在の生活リズム: 午前中に入浴やリハビリが入ることが多い。
直近の変化: 最近、移乗時の立ち上がり動作が不安定になってきている。
■状況
朝の更衣介助後の移乗時、
声かけを行い立ち上がりを促したが、フットレストを上げていなかった。
Aさんは声かけに従い立ち上がり、足を前に出した際フットレストに引っかかりバランスを崩して転倒した。
担当職員は「急いでいたわけではない」と話している。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- なぜフットレスト確認が抜けたのでしょうか?
- これは個人のミスでしょうか?それとも仕組みの問題でしょうか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- フットレストを上げないまま立ち上がり・移乗を開始したこと。
- 動作前の確認が不十分だった。
■背景にある原因
- 移乗前の確認手順(フットレスト・足元・位置関係など)が習慣化・明確化されていなかった。
- 直近で立ち上がり動作が不安定になっていたが、介助方法の見直しが十分でなかった。
- ベッド周囲のスペースが狭く、足の運びや位置調整がしにくい環境だった可能性がある。
■対策
- 移乗前に「フットレストを上げる・足元を確認する・車椅子位置を整える」などのチェック項目を明確にし、毎回声に出して確認する。
- 移乗時は一連の流れを固定化し、「準備→声かけ→動作」の順序を崩さないよう職員間で共有する。
- ベッド周囲のスペースを見直し、足の出しやすい位置に車椅子を配置する。
見方のポイント
この事例はフットレストの上げ忘れとして捉えられますが、
その背景には動作の流れや関わり方が影響していた可能性があります。
特に、利用者の「促されると動く」という特性と、準備のタイミングが重なった点が一つの視点です。
また、環境の狭さや身体機能の変化も、わずかなズレを大きなリスクにつなげる要因となり得ます。
一つの手順ミスとして終わらせず、「どのタイミングで何が起きたか」という流れで捉えることが重要になる場合もあります。



