「いつも通り」で終わらせた確認|(夜勤/10分)
本記事の趣旨
この記事では、夜間体動増加の軽視と対応遅れが重なった転落の事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
本ページはブラウザの印刷機能を利用した際に、
ワークシート部分が最適にレイアウトされるよう調整しています。
そのまま印刷して現場の研修資料としてお使いいただけます。
印刷ショートカットキー
Windows:Ctrl + P
Mac:Command + P
【事例検討】「いつも通り」で終わらせた確認(夜勤)
■利用者プロフィール
90歳 女性 要介護度:4 施設入所中
ADL:ベッド上中心の生活。起き上がりは介助が必要。自力での移動は困難。
認知機能:中等度の認知症あり。夜間は混乱しやすく、不安時に体動が増える。
福祉用具:ベッドサイドレール 離床センサー
性格:不安が強く、人の気配がないと落ち着かない。夜間に声を出すことがある。
生活歴:家族と同居し、常に誰かがそばにいる環境で生活していた。
既往歴:大腿骨骨折既往 心不全
服薬情報:利尿剤 睡眠導入剤
環境:夜勤は1名体制。センサーと巡視で見守り。
現在の生活リズム:夜間に数回覚醒し、声を出したり体を動かすことがある。
直近の変化:ここ数日、夜間の体動が増えており、サイドレールをつかんで起き上がろうとする様子が見られていた。
■状況
深夜の巡視時、Aさんはベッド上で体を動かしていた。
職員は「よくある動きで、そのうち落ち着くだろう」と判断し、特に声かけや対応は行わなかった。
その後、離床センサーが作動。
職員が駆けつけた時には、Aさんはベッドからずり落ちる形で床に転落していた。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- 直近の変化は、どのように活かされるべきだったでしょうか?
- Aさんが体を動かしていたのは、なぜだと思いますか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 離床前の段階での介入が行われなかった。
■背景にある原因
- 最近の体動増加という変化が、具体的な対応に結びついていなかった可能性がある。
- 「いつもの動き」という認識により、リスク評価が低くなった。
- 離床センサーが“事後検知”となり、予防的な対応が不足していた可能性がある。
- 夜間の不安や認知機能低下により、無意識の体動が増えていたのかもしれない。
■対策
- 体動増加などの変化があった場合、巡視時の対応(声かけ・体位調整)を見直す。
- 離床センサーに加え、事前介入のタイミング(体動時)を明確にする。
- 不安軽減のための声かけや環境調整(照明・安心感の提供)を行う。
見方のポイント
この事例は「転落したこと」だけでなく、その前段階で見られていた体動への捉え方が重要です。
繰り返される動きでも、直近の増加はリスクの変化を示すサインだった可能性があります。
また、センサーが作動した時点ではすでに事後対応になっている点も考慮が必要です。
対策としては、「いつもの動き」をそのまま受け止めるのではなく、変化の有無に着目し、早い段階で関わる視点が重要と考えられます。



