片付けたはずの浴室|(入浴/10分)
本記事の趣旨
この記事では、浴室確認の不十分と見えにくい滑り要因による転倒未遂の事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】片付けたはずの浴室(入浴)
■利用者プロフィール
86歳 男性 要介護度:3 施設入所中 下肢筋力低下あり
ADL: 屋内は手すり使用で歩行可能。入浴時はシャワーチェア使用し一部介助。
認知機能: 軽度認知症あり。理解力は概ね保たれている。
既往歴: 変形性膝関節症 高血圧
性格: 遠慮がちで、職員に迷惑をかけないようにする傾向がある。
現在の生活リズム:週に2回入浴。入浴拒否はみられない。
環境: 個浴の浴室を順番に使用している。浴室内にはシャワーチェアと手すりが設置されている。
■状況
その日、Aさんの前に別の利用者が入浴していた。
職員Bは浴室を軽く確認し、Aさんを浴室へ案内した。
Aさんがシャワーチェアに座ろうとした際、足元が滑り体勢を崩しかけた。
幸い手すりをつかみ転倒には至らなかった。
その後、浴室を確認すると、床の一部にシャンプーが薄く広がっていた。
泡はほとんど残っておらず、一見すると濡れているだけのように見えた。
また、シャワーチェアの位置も普段より少し手すりから離れていた。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- 入浴が続く状況では、環境にどんな変化が起きやすいでしょうか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 床面の滑りやすい状態により足元が不安定になった。
- シャワーチェアと手すりの位置関係が適切でなかった。
■背景にある原因
- 前利用者の使用後の床面確認が不十分だった可能性がある。
- シャンプー残留が視認しにくく、危険に気づきにくかった。
- 浴室の準備確認が簡略化されていた可能性がある。
- シャワーチェアの定位置管理が曖昧で、設置位置がばらついていた。
■対策
- 入浴前に床面の滑りやすさを含めた確認(目視+触覚)を行う。
- 前利用者使用後の清掃・確認手順を明確にし、チェック項目として共有する。
- 滑りやすい箇所に対して、マットや滑り止めの使用を検討する。
- シャワーチェアと手すりの位置を定位置化し、毎回同じ配置を維持する。
見方のポイント
この事例は「滑りやすかった」という点だけでなく、
「気づきにくい危険が残っていた環境」に注目する必要があります。
泡が見えにくい状態でも滑りやすさは残るため、見た目だけの確認では不十分な場合があります。
また、用具の位置や環境が毎回一定でないことも、動作の安定性に影響した可能性があります。
対策としては、「問題がないように見える状態」を前提にせず、動作に影響する要素を一つずつ確認する視点が重要と考えられます。




