名前を確認したはずが|(誤薬・服薬/10分)
本記事の趣旨
この記事では、類似氏名による取り違えと確認不足が重なる誤薬の事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】名前を確認したはずが(誤薬・服薬)
■利用者プロフィール
79歳 女性 要介護度:1 施設入所中 慢性心不全あり
ADL: 日常生活はほぼ自立。
認知機能: 軽度認知症。名前への反応は良好。
既往歴: 心不全、高血圧。
服薬情報: 朝夕で内服あり。一包化されている。
性格: 素直で、出されたものは疑わずに服用する。
現在の生活リズム: 7時起床、朝食後に内服。
■状況
朝食後、職員が利用者2名分の薬をトレーに載せて食堂へ運んだ。
2人は隣同士の席で、名字が似ている。(山本さん・山元さん)
職員は「山本さん、お薬です」と声をかけ、薬を手渡し服用を確認した。
その後、服薬チェック表に記入する際に違和感を覚えた。
手渡した相手は山元さんであった。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- どの確認が抜けていたでしょうか?
- 「声をかける」と「本人確認」は同じでしょうか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 氏名の取り違えにより、別利用者へ薬を手渡した。
- 手渡し前の本人確認が不十分だった。
■背景にある原因
- 名字が類似しており、識別がしにくい状況だった。
- 2名分を同時に運搬し、確認の焦点が分散した。
- 「名前を呼べば正しい」という前提で確認が簡略化された。
■対策
- 配薬は1名分ずつ準備・手渡しを行い、同時運搬を避ける。
- 類似した氏名の利用者には、席配置や表示方法を工夫し識別しやすくする。
- 氏名確認に加え、本人の名乗りや生年月日など複数の確認方法を組み合わせる。
- 利用者にも「名前の確認」への参加を促し、確認の層を増やす。
見方のポイント
この事例は「名前の呼び間違い」と捉えられやすいですが、
実際には確認の方法そのものが単一になっていた点が影響している可能性があります。
類似した名前という条件に対して、追加の確認手段が用意されていなかったとも考えられます。
また、利用者が疑わず服用することで、誤りがそのまま進行しやすい状況でもありました。
対策としては、「間違えにくい仕組み」を複数重ねることで、個人の注意に依存しない体制を整える視点が重要と考えられます。



