いつもと逆の順番|(入浴/10分)
本記事の趣旨
この記事では、手順省略と安全確認不足が招く転落未遂の事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】いつもと逆の順番(入浴)
■利用者プロフィール
91歳 女性 要介護度:4 施設入所中 極度な猫背
ADL: 立位保持困難。機械浴(チェアインバス)利用。移乗、更衣は全介助。
認知機能: 軽度認知症。状況理解はおおむね可能。
福祉用具: シャワーチェア(安全ベルト付き) スライディングボード
既往歴: 大腿骨頸部骨折既往 高血圧
性格: 大人しく口数が少ない。
■状況
通常の手順は、
①2人介助でシャワーチェアへ移乗と同時に下半身の脱衣
②姿勢を整える
③安全ベルト装着確認
④上半身の脱衣
⑤洗身開始
その日、入浴介助の人数が多く時間も押していたため、担当職員は「いつもやってるから大丈夫」と思いベルト装着前に上半身の脱衣を行った。
その際、Aさんの体幹が前方に崩れチェアからずり落ちそうになった。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- なぜ手順が決められているのでしょうか?
- 忙しさの理由は、どんなことが考えられますか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 安全ベルト未装着の状態で上半身の脱衣を行った。
■背景にある原因
- 入浴が立て込み、時間的余裕が少なく焦っていた可能性がある。
- 「慣れている利用者」という認識により手順が省略された。
- 複数名介助の中で役割分担や確認が曖昧になっていた。
- 猫背により体幹前傾が強く、通常より不安定な姿勢だった可能性がある。
■対策
- 時間が押している場面でも手順を省略しなくていいよう、業務配分を見直す。
- 安全ベルト装着を「最優先手順」として明確にし、順序を固定する。
- 複数介助時は役割(支持・更衣・確認)を明確にして実施する。
- 移乗後は姿勢安定を確認してから次の工程へ進むルールを徹底する。
見方のポイント
この事例は「ベルトをつけなかったこと」に注目されやすいですが、
背景には時間的圧迫や手順の優先順位の曖昧さがあった可能性があります。
特に、体幹が不安定な利用者においては、わずかな順序の違いが安全性に大きく影響します。
また、「慣れている」という認識が手順の省略につながった点も重要です。
対策としては、状況に左右されない「守るべき順序」を明確にし、
誰が行っても同じ流れになるよう整理する視点が有効と考えられます。




