急いだ朝のひと手間省略|(誤薬・服薬/10分)
本記事の趣旨
この記事では、利用者確認手順の省略と多忙対応が重なる誤薬の事例を取り上げます。
事故の原因を表面的なもので終わらせるのではなく、
背景にある環境や仕組み、心理など多角的な視点から「なぜ起きたのか」を深堀りする構成になっています。
現場での研修や、スタッフの「気づく力」を養うための素材として、
ぜひチームで多様な仮説を出し合ってみてください。
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【事例検討】急いだ朝のひと手間省略(誤薬・服薬)
■利用者プロフィール
87歳 男性 要介護度:3 施設入所中
ADL: 移動は見守り。食事・服薬は一部介助。更衣は見守り程度で行えるが、朝は時間がかかる。
認知機能: 軽度の認知症あり。自分の薬の内容は理解していない。
服薬情報: 朝夕で内服薬あり。朝は5種類(うち1種類は食前薬)
性格: 穏やかで素直。職員の声かけにはいつも「はいはい」と笑顔で従う。
現在の生活リズム: 寝起きが悪く起床には複数回の声かけが必要で、動きが緩慢になる。更衣を行い、トイレを済ませてリビングに行き、朝食の準備ができるまで新聞を読んでいる。
■状況
全員の朝食が終わった後に配薬カートを確認すると、本人のその日の朝の食前薬が残っていることに気が付いた。
担当職員に確認すると、別の利用者の食前薬を服用したことが判明した。
本来は「氏名確認 → 薬包の氏名確認 → 本人の名乗り確認」を行う手順になっているが、
その日は「〇〇さん、いつものお薬です」と声をかけ、そのまま服薬介助を行った。
朝の時間帯、他利用者の排泄介助が重なり、フロアは慌ただしかった。
✍原因を考えてみましょう
✍どのような対策が考えられるか
進行役メモ ※声かけの例
- 本人の寝起きの悪さは、影響していそうですか?
- 配薬手順を見直すとしたら、どのようにするのがいいと思いますか?
▼この事例の整理例
こちらの整理例はあくまでも一例であり、正解不正解を示すものではありません。
ここにない考え方も含め、どれも一つの答えになり得ます。
また、個別の状況によって適切な対応は異なります。
実際の現場では施設管理者や医師の指示に従ってください。
■表面的な原因
- 配薬時の氏名確認が不十分だった。
■背景にある原因
- 朝の時間帯で業務が重なり、余裕が欠落していた。
- 「いつもの薬」という認識により、確認が簡略化された。
- 確認手順(氏名確認など)が習慣として定着しきれていなかった可能性がある。
■対策
- 排泄介助の重なりやすいタイミングを避けて服薬介助が行えるよう、業務の流れの見直しを行う。
- 配薬は一人ずつ完結させ、途中で他業務に移らない流れを整える。
- 「いつもの薬」という表現を避け、具体的な確認行動を伴う声かけにする。
- 配薬時は「氏名確認→薬包確認→本人確認」を必ず実施するルールを、毎月の職員会議で全職員に共有する。
見方のポイント
この事例は「確認不足」と捉えられがちですが、
その背景には時間的制約や業務の重なりが影響していた可能性があります。
特に食前薬はタイミングが限られるため、焦りや優先順位の揺れが生じやすい状況といえます。
また、「いつも通り」という認識が確認行動の省略につながった点も重要です。
対策としては、個人の注意に依存するのではなく、忙しい状況でも同じ手順が維持される仕組みづくりが有効と考えられます。




