【介護】事故報告書の書き方|苦手な理由と「楽に書ける」考え方

この記事の目的

事故報告書の書き方がわからない。
介護の現場でそう感じることはありませんか?

介護現場では、事故報告書を書く機会は少なくありません。
しかし、体系的に「書き方」を教わる機会はほとんどないのが実情です。

その結果、
・何を書けばいいのかわからない
・原因の書き方で手が止まる
・「これでいいのか」と不安になる

といった悩みが生まれます。

事故報告書が苦手なのは、
能力の問題ではありません。

「考え方」を知らないだけです。

この記事でわかること

  • 事故報告書が書けない本当の理由
  • 迷わず書ける「基本の考え方」
  • 原因と対策で手が止まらなくなるコツ

この記事では、
事故報告書が書けない理由を整理しながら、
楽に、正しく書けるようになるための土台を解説していきます。

事故報告書を書くのが苦手な人は多い

事故報告書を書くのが苦手。

そう感じている介護職員は少なくありません。

  • 何を書けばいいのかわからない
  • どこまで書けばいいのかわからない
  • これで合っているのか不安になる
  • 「原因=自分のミス」と感じてしまう

さらに、

  • 「ここはもう少し詳しく」
  • 「原因がわかりにくい」
  • 「これで対策になるとは思えない」

と、再提出を求められる。

一度で通らない経験が続くと、
書くこと自体がストレスになってしまう。

必要なのは、“文章力”ではなく“整理力”

事故報告書に必要なのは、
上手な文章を書くことではありません。

必要なのは、
起きたことを整理する力です。

  • 何が起きたのか
  • どんな状況だったのか
  • 何が重なっていたのか

これらを並べるだけで、
伝わり方は大きく変わります。

実は事故報告書は箇条書きでも問題ないのです。

うまく書こうとしない
順番に並べるだけでOK!

事故報告書は、責任を決めるものではない

事故報告書は、
書くこと自体が目的ではありません。

  • 何が起きたのかを残す
  • なぜ起きたのかを整理する
  • 同じことを繰り返さないための材料にする

この3つのために書きます。

ここで大切なのは、
責任を決めるためのものではないということです。

誰が悪かったのかではなく、
何が重なって起きたのか。

業務の構造やその利用者の心身の状態、

そこに目を向けるためのものです。

「誰のせいか」ではなく
「なぜ起きたか」を残すもの。

基本構造と書き方

事故報告書は事業所ごとに様式が異なりますが、
介護職員が記入する項目は、多くの場合次の4つの構造でできています。

  1. 利用者情報
  2. 事故発生時の状況・対応
  3. 原因(考察)
  4. 対策

他にも

  • 事業所の名称・住所
  • 受診の有無・その後の処置
  • 家族への報告・家族の反応
  • カンファレンス・対策実施後の評価

などがある場合もありますが、
これらについては、上2つはそのまま書くだけ。
下2つは管理者が記入することが多いかと思います。

なので、事故報告書の書き方としては、上の1~4について考えるだけで十分です。

事故報告書の書き方、NG/OK例アイキャッチ

実際の事例で見る書き方
(NG例・OK例)はこちら

利用者情報は、原因を考える情報にもなりえる

まずは利用者の氏名や年齢、要介護度を記入します。

様式によっては利用者の住所や入所日、日常生活自立度などの欄がある場合もありますが、
本人のケアプランやアセスメントシートなどの情報をそのまま写せば良いので簡単ですね。

利用者情報の活用

利用者情報は単に個人を特定するためだけではなく、事故の原因を考える際の情報としての意味もあります。

例えば、
要介護度1と5
70歳と90歳では、受ける印象は違いますよね。

転倒の原因を考えるときに、要介護度1なら
「身体機能が低下したのかも?」と考えられる一方、
すでに身体機能が低下している人に対しては原因としては考えにくいです。

なぜなら「身体機能の低下」は今に始まったことではないからです。

他の情報についても、原因を考えるきっかけとして活用できることもあるかもしれません。

入所日 → 施設での生活に慣れている?慣れていない?
住所 → 自宅と施設は市内の端と端にある。帰宅願望の原因かも?

事故発生時の状況・対応は、客観的事実を並べる

事故報告書を書くときに、「原因」と「対策」が一番時間がかかるという人が多いですが、
意外と「状況・対応」も時間がかかってしまうのではないでしょうか?

この項目は「書き方」さえ知ってしまえば、とても簡単に書けるようになります。
それが、

  • いつ
  • どこで
  • だれが
  • 何をしていたか

これらの、客観的な事実を時系列順に並べること。

上手な文章である必要はありません。
箇条書きでも問題ないのです。

迷ったら「見たまま」を書く。
それだけで十分です。

主観的な内容を書いてしまっていませんか?

実はそれは「正しい書き方」ではありません。

客観的事実とは、「見たまま、聞いたまま」と言い換えることができます。

例えば、
【居室のベッドで休んでいた利用者が居て「ドン」という音が聞こえたので見に行くと、
床に仰向けの状態でいるのを発見した。】

という状況を書く場合、

【音が聞こえ訪室すると、転倒しているところを発見した。】
と書くのは主観的事実です。

なぜなら「転倒している」というのは
床に仰向けの状態を見て「転倒した」と介護職員が想像したに過ぎないからです。

実際には自分で床に座って、そのまま寝転がった。という可能性だってあるわけです。

実際にあったこと

とある利用者さんは、褥瘡予防のために日中1時間ほど居室で休んでいただいていました。
すると、職員が慌てた様子で「○○さん、転倒しています!」と報告にきました。

見に行くとベッド横の床で仰向けの状態になっていました。

対応後、居室の見守りカメラで事故発生時の映像を確認すると、

  1. 自分でベッドから足を出したものの上体を起こせない
  2. そのまま両足を床に着く
  3. ぬる~っとした動作でゆっくりとお尻を床に着く
  4. しばらくの間、床であぐらをかいた状態で過ごす
  5. 床に手を着きながら、ゆっくりと寝転がる

という状況が映っており、転倒ではなかったことがわかりました。

このときの報告書の内容は、

転倒していた(職員の想像)
ではなく、
ベッド横の床に仰向けの状態でいるのを発見。(見たまま)
と書いてもらい、

追記する形でカメラ映像の内容を書きました。

原因(考察)は、最初は適当でいい

原因と対策は一人で考えるのではなく、チーム全員で考えなければ意味がありません。
ですので、他の職員に相談することは正しいことです。

事故報告書において最も重要なのが「原因」です。

まず前提として、
原因は ” 正解を書くもの ” ではありません。

そのとき考えられる「仮説」で十分です。

どんなに優れた人であっても、その事故一回でいきなり正解にたどり着くことはありません。

ですので、まずは難しく考えずに思いついたことをとにかく書き出してみましょう。

最初は適当でいいのです。

正解を書く必要はありません。
「これかもしれない」でOK!

思いついた原因に「なぜ?」と問いかける

重要なのは、

「徹底的に掘り下げる」

ことです。

思いついた原因に対して「なぜ?」と問いかけていく。

すると、最初に思いついた「原因の”原因”」が見えてきます。

そして、さらに「なぜ?」と問いかける。

これを「もう思いつかない」というところまで続けることで、
隠れていた「本当の原因」に辿り着くことができます。

原因は掘り下げて考える

最初に思いついた原因が「見守り不足」であれば、「なぜ見守り不足になったんだろう?」と掘り下げていきます。

転倒事故の原因の例

スクロールできます

このように掘り下げていくことで、効果的な対策を考えることができるようになります。
結果として、現場の負担の減少にも繋がっていきます。

さらに、事故報告書の再提出を求められることもなくなります。

事故報告書の書き方、NG/OK例アイキャッチ

実際の事例で見る書き方
(NG例・OK例)はこちら

対策は、原因を裏返す

対策は、原因をそのまま裏返すことで考えらます。

しかし、原因が「見守り不足」であれば、対策は「見守りの強化」となってしまい、

間違いなく再提出になってしまいます。

「原因の掘り下げ」ができていれば、具体的で十分な対策を書くことができます。

対策は「原因に対応する形」で考える。

原   因対   策
「誰かが見るだろう」と人任せにしていた誰が見るかを明確にする
そのため、職員間の役割を再確認する 
フロアを離れる事を伝えなかったフロアを離れるときは声をかける
毎朝4時に起きてくる夜、寝る時間を遅らせる
昼寝の時間を設ける
体の不調があるのかも(仮説定時以外にバイタルチェックをする
看護師、往診医に相談する
普段から短期記憶は難しい。立ち上がることは予想できたかも(仮説立ち上がりのリスクを共有する
そのため、記録を回覧し印鑑を押してもらう
声かけの時、周りがうるさくて聞こえなかった(仮説声かけは、本人の近くまで行って伝える

原因と同じく、
対策も ” 正解を書くもの ” ではありません。

試して、ダメなら変える。

この繰り返しです。

そのため、「もしかしたら」程度の気楽さで取り組んで良いのです。

 対策も掘り下げが必要な場合があります。
「どうやって?」と問いかけることで、具体的な内容を書くことができます。

ワンポイントアドバイス

対策は、 ” 理想 ” ではなく ” 現実に実施できるもの ” を書きましょう。

どれだけ良い対策を思いついても、実施できなければ意味がありません。

また、「これって本当にできるの?」と再提出の理由になることもあります。

まとめ

この記事で押さえておくポイントは3つです。

  • 事故報告書は「責任」ではなく「原因」を見るもの
  • 原因はまずは適当でいい。そこから「なぜ?」と問いかけていく
  • 対策は原因に対応させると、考えやすい

この3つだけで、書く負担は大きく変わります。