【介護】事故報告書の書き方|事例で見るNG例とOK例
この記事の目的
事故報告書は、
「考え方」が分かっても、
実際に書こうとすると手が止まることがあります。
この記事では、実際の事例をもとに
- 状況・対応
- 原因
- 対策
の書き方を、
NG例とOK例で比較しながら整理します。

そのまま真似できる形で解説していきます。
事故報告書の
基本と考え方はこちら
使用する事例(要約)
92歳女性。アルツハイマー型認知症。重度の視野狭窄あり。
帰宅願望が強く、
立ち上がりが頻回に見られていた。
15時頃、
職員が他の利用者対応と見守りを同時に行っている中、
利用者が立ち上がり移動。
「危ないよ」と声をかけると、
椅子のない場所に座ろうとして尻もちをついた。
状況・対応の書き方
NG例
15時頃、本人が立ち上がり、椅子の無い所に座ろうとして転倒した。
職員が見守りをしていたが間に合わなかった。
バイタル、BD:○○ P:〇〇 KT:○○ SPO2:○〇
外傷無し、受け答え可能
様子見する。
OK例
15:00 フロアにて椅子から立ち上がり、
テーブル伝いに横へ数歩移動する様子を職員が確認。
職員が「危ないよ」と声をかけながら近づくが、
Aさんはそのまま椅子のない場所に座ろうとし、尻もちをつく。
すぐに職員が傍につき状態を確認。
受け答えは可能で、自身の名前、生年月日を答えられる。
「お尻が痛い」「頭は痛くない」と話す。
頭やお尻に腫れや赤みは見られない。
15:05 バイタル測定 BD○○・・・
15:15 ベッドへ誘導し安静とした。
その後も30分おきにバイタルサインと体の状態を観察することにした。
専門用語・難しい言葉
事故報告書は「相手に内容を伝える」ことが大切です。
そのため、無理して難しい言葉を使わなくても構いません。
伝わればそれでいいのです。
以下、対応部分を参考までに(時間は省略しています)
実務でよく見るver
すぐに職員が傍につき状態を確認。
意識ははっきりしており、氏名・生年月日は答えられる。
「お尻が痛い」「頭は痛くない」との訴えあり。
頭部および殿部に腫れや発赤は認められなかった。
ベッドへ移乗し安静とした。
その後、30分おきにバイタルサインと身体確認を行うこととした。
より硬い表現ver(介護ではあまり見ない)
すぐに職員が傍につき状態を確認。
意識レベルは清明であり、氏名・生年月日の見当識は保たれている。
「殿部痛あり」「頭部痛なし」との訴えあり。
頭部および殿部に腫脹・発赤は認められない。
ベッドへ移乗し安静臥床とした。
その後、30分毎にバイタルサインおよび全身状態の観察を実施することとした。
原因の書き方
NG例
- 見守り不足
- 注意不足
最初に思いつく原因は、多くの場合これです。
ただし、ここで止まると
対策は「見守り強化」になり、再提出になります。
「なぜ?」と掘り下げる
- A : なぜ見守り不足だったの?
- フロアとトイレの見守りを同時に行っていた
- A : なぜ同時に行っていたの?
- 職員間での見守りの役割分担ができていなかった
- B : なぜ立ち上がりが続いたの?
- 帰宅願望が強く、落ち着かない状態だった
- B : なぜ落ち着かなかったの?
- その都度の対応だけで、不安を解消できていなかった
- C : なぜそのまま座ろうとしたの?
- 視野狭窄により椅子の位置を把握できていなかった
- C : なぜ把握しないで座ったの?
- 「危ないよ」との声かけに「座らなきゃ」と思ったのかも
原因は一つではなく、様々な要素が重なっています。
- 認知・心理(帰宅願望)
- 身体・感覚(視野狭窄)
- 環境(椅子の位置認識)
- 業務(見守りの分散)

最初の「見守り不足」は入口に過ぎません。
OK例(原因)
- A : 職員間での見守りの役割分担ができていなかった
- B : 帰宅願望への対応がその場だけのもので、不安を解消できていなかった
- C : 職員の声かけ内容により、本人を焦らせてしまった
原因が書けない
理由と考え方はこちら
対策の書き方
NG例
- 見守りを強化する
- 注意して対応する
- リスクが高いことを再認識する
OK例
- A : 今、誰が見守りをしているのかを明確にするために、
フロアを離れる際には必ず離れることを他の職員に伝える - B : 帰宅願望への対応について、
職員間で検討・実施を行い、本人の不安を解消する術を模索する。 - C : 本人を焦らせないような声かけ内容を検討・実施する。
まとめ
事故報告書は、次の3つで整理できます。
- 状況 → 「見たまま、聞いたまま」を書く
- 原因 → 仮説を出して掘り下げる
- 対策 → 原因に対応させる
この形で考えるだけで、書く負担は大きく減ります。



